音叉の森

　歌集　

　著者=相澤　啓三（あいざわ　けいぞう）　
　　装画=建石　修志

滅びの相の下に起きたこと、起ころうとすることに耳をこらす――詩人の魂に記憶の歎きと予兆の響きを伝える弾みある翼・短歌の形

樫の木の緑重しと見ゆるときさゆらぐ峡(かひ)の林を恋へり
ダンベルで鍛へ水夫と抱き合はむコルヴォー男爵に貴腐の雉肉
手術室へ病院の迷路押し渡り死の舟となるベッドもあらむ
ひたひたと鉄階段をひたくだり事の外側にいつまで生くる
ワイングラスかたへに愛の楽章をい寝(ね)ぬそのまま覚めざらましを

　6年25月2016日初版第一刷　発行　　A5変（210×140）　180ページ　
　定価3080円　(本体2800円)　ISBN978-4-87995-938-6 Cl092 \2800E

`Ⅰ　（二〇一二年―二〇一三年）`
`ぬばたまの`		12
`青き絵`		14
`帰郷`		16
`虹のともがき―ドナルド・リチーさん追悼`		20
`女優―大塚道子さん追悼`		22
`コルヴォー男爵`		24
`情報の交換`		28
`受難楽`		30
`眼の花`		32
`〈ほととぎす〉―古歌パラフレーズ`		36
`クオリア`		38
`煮えたつ夏`		44
`レコーディング`		46
`ニケの翼`		48
`《浮遊》`
`1・荒野の形相`		54
`2・奥界の構図`		55
`3・死の舟`		63

`Ⅱ　（二〇一四年―二〇一五年）`
`泌尿器科待合室`		74
`スマイル`		78
`牧神`		80
`術後観察期`		82
`回帰する主題`		84
`さまよひ出る―オペラの中へ、オペラの外へ`		92
`破璃の鉢`		95
`先に立つ者`		100
`姫川の翡翠`		104
`受苦のかたち`		106
`家系`		112
`夕日ヶ丘`		116
`〈黄金と闇〉―ポルヘス詩翻案`		118
`秋のグロリア`		120
`体感`		123
`パリの銃声`		126
`この星の時`		128
`黒旗なびく`		130
`虚空のふち`		133
`連結車輪`		140
`非・日常の切断`		142
`アクティヴの遍歴`		144
`文明の悔い`		146
`藍より青き`		150
`臭跡`		152
`パートナーシップ`		157
`古代末期`		160
`失はれし風景`		164
`居らざるごとく`		167
`冬草の`		170

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