詩集
著者=相沢 正一郎(あいざわ しょういちろう)
装画=相沢 律子
(風が、五十七ページ自に漆の白い葉裏をまくりあげ……) | 4 | |
(風は、いもあらし、のわけ、しかのつの、かしんふう……) | 6 | |
(窓辺に立つひとは、川の光をのぞき込んでるひと……) | 8 | |
(本をよむときには、おおきな部屋じゃないほうがいい……) | 12 | |
(川は、すみだがわ、よしのがわ、もがみがわ、かもがわ……) | 14 | |
(睡眠は、スイミング。大切なことは、呼吸を整えるタイミング……) | 16 | |
(ときには、けやきの木陰で本をよむのもいい……) | 18 | |
(虫は、水黽、屁放き虫、蟋蟀、竈馬、草雲雀、糞転がし……) | 20 | |
(虫が好かない虫、といえば……なんたって蚊……) | 22 | |
(本は、水のはいった木の桶……) | 28 | |
(魚は、サケ、スズキ、ボラ、コイ、フナ、ニジマス、イワナ……) | 30 | |
(道の途中でひろった木の枝――てのひらにぴったりの握りぐあい……) | 32 | |
(ゆびさきを舐め、ゆっくり本のページをめくると……) | 36 | |
(雨は、あせもからし、なごのしょうベん、さざんかちらし……) | 38 | |
(一五九四年七月十八日、からゔあっじょハ画布ノ前ニ立ッテイタ……) | 40 | |
(ところできみはきょう〈空に両手をさしのべ、雲にむかって呼びかけた〉って……) | 48 | |
(雲は、いわしぐも、きぬぐも、かなとこぐも、しぐれぐも……) | 50 | |
(この道の果てにはなんにもないんじゃねえか――って親父がよく言ってた……) | 52 | |
(てのひらをあかく染めながら、錆びた音たてて門をあける……) | 56 | |
(木は、ぶな、かし、けやき、まつ、すぎ、しらかば……) | 58 | |
(《誰だ》――『ハムレット』のいちばんはじめの台詞に……) | 60 | |
(あなたの眼が熱いのは、ちいさな活字を追った疲れなんかじゃない……) | 64 | |
(草は、ははこぐさ、ほとけのざ、いぬのふぐり、からすのえんどう……) | 66 | |
(デハミナサン、ミナサンガ夜空ノ星ヲ見上ゲタノハ……) | 68 | |
(住む、は〈澄む〉っていうけど……) | 78 | |
(花は、ふくじゅそう、むらさきさぎごけ、すずめのてっぽう……) | 80 | |
(シチューが煮えるのを待ちながら……) | 82 | |
(本の扉をひらくと、井戸のある家……) | 86 | |
(鳥は、翡翠、鷭、鶺鴒、五位鷺、草鷸、蒼鷺……) | 88 | |
(あかるい月の夜に川をわたる牛車の車輪に……) | 90 | |