2007年度書籍目録

(全部で30冊)

The Wasteless Land. III　田中　宏輔　
　　装幀=亞令
　　A5変略フランス装（210×132）　64ページ　　2007年12月20日発行　定価2200円　(本体2000円)　ISBN978-4-87995-727-6 C1092 \2000E

詩人の内に滾る未生の言葉の噴出。
これらのこれらのこれらの言葉がたったひとつの単語として複雑で遠大な意味にむかう

The Wasteless Land. II　田中　宏輔　
　　装幀=亞令
　　A5変略フランス装（210×132）　156ページ　　2007年12月20日発行　定価2750円　(本体2500円)　ISBN978-4-87995-726-9 C1092 \2500E

世界の内に刻まれた無数の言葉の氾濫。
孤独な魂が、わたしの魂を、しじゅう、他のだれかの魂と取り換える。/詩論詩の試み。

大地の黄身　後藤　美和子　
　　装画装幀=浜田　洋子、亞令
　　A5変（196×132）　130ページ　　2007年12月10日発行　定価2420円　(本体2200円)　ISBN978-4-87995-725-2 C1092 \2200E

いつの時だったか…この惑星の狂騒はとうに枯れ絶えていた。うずくまっていた寡黙な影が立ち上がる。地中のものの小さな声を受け、鉤ざきの腕をあげ、光の中に走り行く…裸足で…。彼方にも…もう一人…。

裸形の言ノ葉　林　浩平　
　　装幀=菊地　信義　本文レイアウト=中村　鐵太郎
　　四六　202ページ　　2007年12月10日発行　定価2200円　(本体2000円)　ISBN978-4-87995-724-5 C1095 \2000E

吉増剛造の言葉を追う:語の統覚を砕き、意味に収束しない声を捉え、世界の響きを拾う。…それは、人間社会が言葉に課し、言葉が背負おうとする負荷を、ふりほどき、かなぐり捨てるかのようだ。何にも屈さず、何処にも到達しようとせぬために。

詩の風景・詩人の肖像　白石　かずこ　
　　装幀=加藤　光太郎
　　菊変（205×152）　466ページ　　2007年11月10日発行　定価3850円　(本体3500円)　ISBN978-4-87995-723-8 C1095 \3500E

こんにちのユリシーズ

世紀をこえる詩の海への航海、世界のさまざまな国への旅がはぐくんだ詩の交友。
日本と世界の詩人15人に捧げるエッセイにして珠玉のアンソロジー。第60回読売文学賞随筆・紀行賞受賞、図書館協会選定図書

血のたらちね　古賀　忠昭　
　　装幀=稲川　方人
　　菊変（218×138）　114ページ　　2007年10月30日発行　定価2420円　(本体2200円)　ISBN978-4-87995-722-1 C1092 \2200E

たかかとこはやめて
ちをはいちをだきこんで
じごくのことをおもうてください

30年の沈黙の時を解放した詩人が、命の底に溢れ出る絶唱の言霊を召喚する。第17回丸山豊記念現代詩賞受賞

北半球　吉田　義昭　
　　装画=柿本　忠男
　　A5変（210×138）　130ページ　　2007年10月25日発行　定価2750円　(本体2500円)　ISBN978-4-87995-721-4 C1092 \2500E

宇宙のなかのある一点、
地球の、ここに住むことに疲れると
いろいろのことを考えてしまう…

雲は何でできているのか
空は何でできているのか
そもそも微粒子からできていた人が
微粒子に戻り、
非科学的に消え、消え残り、
私は科学的に悲しむ

風が吹く
木が揺れることを楽しむようだ
太陽が海に溶ける
少年が背をむけてじっと立ち尽す

楕円形ノ夏no夜　大石　健　
　　装幀=亞令
　　菊変（220×148）　122ページ　　2007年10月15日発行　定価2750円　(本体2500円)　ISBN978-4-87995-719-1 C1092 \2500E

騎乗の婦人が木立のなかを行く。少し変だ…。木の手前の婦人の姿を背後の幹が侵している。木々の間には切り裂かれた空間が空無として描かれる。ねじれた視界がどっと押し寄せる。
本書があらわにする言葉たちもまた、よじれからまった視野のなかを痙攣しながら迫ってくる。見え隠れする「いまだ/すでに」の狂った曲率に翻弄されつつも。
――（きみはどこにいるの？）

宝物　平田　俊子　
　　装幀造本=菊地　信義
　　A5変（210×138）　164ページ　　2007年10月15日発行　定価3080円　(本体2800円)　ISBN978-4-87995-716-0 C1092 \2800E

あの時、私だけが聞いた柔らかな声

何をのぞみ　何をあきらめるのか
何を得　何を失ったつもりか
大切なものは何度でも捨てなければならない
もっと大切なものが　捨てようもなく
手の中にあるのだから

水の中から声がします

サム・フランシスの恁麼　竹田　朔歩　
　　帯=長谷川　龍生　装幀=亞令
　　A5変略フランス装（210×142）　122ページ　　2007年9月30日発行　定価2750円　(本体2500円)　ISBN978-4-87995-720-7 C1092 \2500E

自己の存在の記憶を、ひとつひとつ確めている人である。自己がいったい何者であるか。さらに加えて変革の鞭をふるいつつ表白の領土において尚一層の造形性を高めようとしている。
禅のように、修練の両輪である。
きびしい難路が待ちかまえている。
人間の素肌に触れて立ち向う「実存」とひろがる夢幻の「芸の彩どり」のバランスシート。これからの人生に大いなる可能性の明日を生む。――長谷川龍生
第41回小熊秀雄賞受賞

詩的分析　りぶるどるしおる63　　藤井　貞和　
　　装幀=亞令
　　四六変（190×120）　432ページ　　2007年9月30日発行　定価3300円　(本体3000円)　ISBN978-4-87995-718-4 C1395 \3000E

《詩のことば》なんか存在しないのかもしれない　詩人藤井貞和はつぶやく　きわめて意識的な言語体験が重ねられるだけではないか、と

音数律が無くとも村々はうたごえを喪わなかった。ことばは文字に写されなくとも表わすことをする。この視界に人は生きてきた。この足場から、もう一度問うてみる――詩の成立を促す人の営みそのものを。

ザック・デ・ラ・ロッチャは何処へいった?　高　啓　
　　装画=百田　智行
　　A5変（208×138）　108ページ　　2007年9月30日発行　定価2750円　(本体2500円)　ISBN978-4-87995-717-7 C1092 \2500E

日々を生きることは憂鬱であり快楽である―初手から世界にきみの場所はないのだと、厳寒の海も真夏の海峡もぼくを誘うが、胸が張り裂け息絶え絶えになれば少しは世界に手が届くような気がして、ちいさく息をのみ、木舟を推すことにする。なにがあっても行く…なにかよくわからない繋がりが影を帯びるようだ…戯れに名を呼んでみる―日々を生きることは快楽であり快楽である

蛇の舌　石井　辰彦　
　　装幀=亞令
　　菊変（218×144）　146ページ　　2007年9月11日発行　定価3080円　(本体2800円)　ISBN978-4-87995-715-3 C1092 \2800E

人々の心を灼く言葉を発するために、預言者は蛇の舌を与えられたという。《うたびと》は、いかなる舌を持つだろうか？
…小鳥を空へ放つ少年/光のなかへ奔り去る少女/失くした片方の靴/読みさしの本/人生の苦艾の酒/お砂糖の白い粉/昨日砕けた夢/美しい嘘/真つ白な帆/真つ青な空/血の色のリボン/猛猛しい背中/あどけない戦士/星の悲鳴…
この世界をそっくりそのまま抱きしめるために。

星に聴く　金石　稔　
　　栞=中島　三枝子　装幀=菊地　信義
　　A5変（210×144）　124ページ　　2007年9月10日発行　定価2750円　(本体2500円)　ISBN978-4-87995-714-6 C1092 \2500E

問いをかさねる。渾沌の劫初に、錯綜の永劫へ。
ただふるえつづける一つの声として。
つねに眼前にありながら、
いつも遅れて現われる示唆を見つめながら。第42回北海道新聞文学賞（詩部門）受賞

ダチュラの花咲く頃　山本　博道　
　　装画=浜田　洋子　装幀=亞令
　　A5変（208×138）　114ページ　　2007年8月30日発行　定価2750円　(本体2500円)　ISBN978-4-87995-713-9 C1092 \2500E

トランペットを吊した形の花が小さく揺れる。
猛毒を抱いて、淡い光のなかで。
光の粒子は、ありとあらゆる不幸とあり得るかも知れない未来を攪拌すると発光するのだろう。それらは、折にふれて、途方もない数字に置き換えられるだろう。
……ぼくはくたびれてしまった。けれども、だからといって世界をほったらかしにしていいのだろうか？
……ぼくは伸びた鬚を剃りはじめる。

NEW WORK　松元　泰介　
　　装幀=亞令
　　A5変（210×136）　102ページ　　2007年8月31日発行　定価2640円　(本体2400円)　ISBN978-4-87995-712-2 C1092 \2400E

グラナダ詩編　関口　涼子　
　　装幀=亞令
　　A5変略フランス装（190×148）　100ページ　　2007年8月10日発行　定価2640円　(本体2400円)　ISBN978-4-87995-710-8 C1092 \2400E

遠廻りして行く
フェルナンド・ペソア――
私たちは後を追う。私たちは観察する。上昇する蒸気…行き交う幻影…遠く反響する声…かつて語られた愛の物語…今しがた通り過ぎた街は待ち合わせの場処ではない、その街はどのような場処として生きるのだろう。到着すべき街は、今は不在の生としてあるのだろうか。もう一つの不在の生が、生を不在から掬い出すのだろうか。

閨房詩篇　笹田　満由　
　　栞=河津　聖恵　装幀=亞令
　　四六変（190×120）　48ページ　　2007年8月10日発行　定価1100円　(本体1000円)　ISBN978-4-87995-709-2 C1092 \1000E

天使
現われる…
この豊穣な荒地に。

月あかり・挽歌　桑原　茂夫　
　　装幀=大泉　史世
　　A5変（172×148）　88ページ　　2007年7月20日発行　定価2200円　(本体2000円)　ISBN978-4-87995-708-5 C1092 \2000E

早朝、ぼくは一個の珠を呑み込んでいた。
ぼくが呑み込んだ珠こそ、
そのひとが旅立ちにあたって遺していったものだと思った。
やがてそれは確信となった。
その珠には、たぶんことばがびっしり詰まっているのだ。
それを解きほどき、読み解くことが、そのひとの旅立ちをしっかり受け止めることだと思った。
――あとがきより

ホッチキス　細見　和之　
　　装画=浜田　洋子　装幀=亞令
　　A5変（210×136）　96ページ　　2007年7月15日発行　定価2640円　(本体2400円)　ISBN978-4-87995-707-8 C1092 \2400E

ホッチキス売りの幼い少年…
歩むべき道を示すホッチキス占い…
ありとあらゆる取り返しのつかないこと
どもを束ねつづける伝説のホッチキス芸人…
…ホッチ、ホッチ、キス、キース…
内部と外部について深刻な考察をめぐらす男の
耳に、ホッチキスのかそけき鳴き声が囁
く…君たちは、ホッチキスなしには
一日たりとも暮らせないのだ。

人生の乞食　四方田　犬彦　
　　栞=高橋　睦郎、小池　昌代　装幀=加藤　光太郎
　　菊変（174×152）　192ページ　　2007年6月20日発行　定価2860円　(本体2600円)　ISBN978-4-87995-706-1 C1092 \2600E

動物はなぜ人間より幸福に見えるのか。
乞食の道を選ぶことは、少しでもその幸福に
近づいてゆくことだ。
生きるのに乞食の道があるように、詩にも
乞食の道があるはずだ。

奇異雑譚　阿部　芳久　
　　装幀=亞令
　　A5変略フランス装（210×140）　92ページ　　2007年5月30日発行　定価2640円　(本体2400円)　ISBN978-4-87995-705-4 C1092 \2400E

鏡が映す不可解な私の像――
闇の中で
ブランコを軋らせる唇の赤い少年。
取り残されている自分。
この惑星の上に。
劫初から。
…それとも、
鏡の前に立つ自分の姿こそ錯覚なのか。

るしおる　64　
　　装幀造本=菊地　信義
　　菊変（220×190）　176ページ　　2007年5月25日発行　定価2640円　(本体2400円)　ISBN978-4-87995-704-7 C1392 \2400E

読者の皆さまへ

「るしおる」64号をお届けいたします。

〈るしおる〉lucioleは、小さな蛍です。微かな光ではあれ、暗い地平を迷い行く光を発します。行く手を探りつつ、詩と文学と思考の根幹にじかにそっと手を触れたい、その枝先葉先からしたたる雫を掌に受けたい、と希っています。
これからもそうありたい、と希っています。

〈るしおる〉は今号を以ってしばらく翅をたたみ、新たな飛行に備える模索の季節に入ります。
長い間のご購読とご支持に深く感謝いたします。
これからの試みに対しても変らぬご支援をお願い申し上げます。
二〇〇七年五月　書肆山田「るしおる」編集部

ガンジスの女　りぶるどるしおる58　　マルグリット・デュラス/訳=亀井　薫　
　　装幀=亞令
　　四六変（190×120）　192ページ　　2007年5月30日発行　定価2200円　(本体2000円)　ISBN978-4-87995-703-0 C1397 \2000E

不可能の愛に憑かれた欲望と狂気と疲弊の日々。デュラス　そしてわれらを、言葉となって襲う記憶の砕片。

〈ときどき、死にたくならない？/ええ、思うわ…〉立入を禁止された時間とも言うべき昏い視界で、さ迷い行き過ぎ、隣り合うことに気づかぬ人々/戦慄のシネ・テクスト。

バタイユの迷宮　吉田　裕　
　　装幀=中村　鐵太郎
　　四六　312ページ　　2007年5月10日発行　定価3520円　(本体3200円)　ISBN978-4-87995-701-6 C1095 \3200E

眼球譚ドキュマン太陽肛門ダーティ供犠アセファル聖なる社会学マダム・エドワルダ内的体験有罪者ニーチェについて呪われた部分…1920年代の青春から1940年代の狂的な達成に到る錯綜の迷宮へのアリアドネの糸――前期バタイユ学の新たな基盤。図書館協会選定図書

島の危ない住人たち　成田　英明　
　　帯=佐々木　幹郎　装画=横田　稔
　　A5変略フランス装（212×140）　120ページ　　2007年4月30日発行　定価2750円　(本体2500円)　ISBN978-4-87995-702-3 C1092 \2500E

おかーさん、お父さん変よ……

……ふらふらっと、
稀有な詩人が誕生した。/佐々木幹郎

ニーチェ詩集　フリードリヒ・ニーチェ/訳=河内　信弘　
　　栞=長谷川　龍生　装幀=亞令
　　菊変（220×138）　320ページ　　2007年3月10日発行　定価4180円　(本体3800円)　ISBN978-4-87995-700-9 C1098 \3800E

おまえはどこにいる。手を差し伸べてくれ。
あるいはせめて指だけでもいい。

トリノの広場で鞭打たれる馬に駆け寄って狂気の闇に落ちていったニーチェ。自分の中を嵐になってさまようものを追い求め、自らを追い立てる。その彼が抱く静謐な言葉。

探すことにうんざりしてからは/見つけることを覚えた。
風が私に逆らうようになってからは/あらゆる風に帆を張った。

わたしは血　りぶるどるしおる62　　ヤン・ファーブル/訳=宇野　邦一　
　　装幀=亞令
　　四六変（190×120）　128ページ　　2007年2月15日発行　定価1980円　(本体1800円)　ISBN978-4-87995-699-6 C1398 \1800E

私には小さな足と翼がある。静脈の中を走り、動脈の中を飛び回る。
不可思議な声　ヤン・ファーブル
私は外に出る。自分を解き放ち、自分を空っぽにする。

血は生のしるしであり、死のしるしである。血なしに、あるいは、血を流さずに人の生きる日は一日もない。私は自分の無力を、微かな傷跡を残すだけの蝶の力を愛する。

旅する言葉　小野　正和　
　　四六変（190×126）　116ページ　　2007年1月30日発行　定価2200円　(本体2000円)　ISBN978-4-87995-698-9 C1095 \2000E

気ままな詩圏散歩/その日、小さな部屋で小さな灯りに向っている詩人。かれのペン先に忍び込み、震える一つの言葉。それは、はるかな時をこえて、もう一人の詩人から受け渡される言葉――言葉のリレー

シェイクスピアからシルビア・プラスへ、プラスからテッド・ヒューズへと受け渡される言葉がある。エズラ・パウンド、イエイツがホメーロスから引き継ぐ言葉がある。言葉のオーラが意味を増殖させ深化させる。詩の言葉はこんなにも面白い。

るしおる　63　
　　装幀造本=菊地　信義
　　菊変（220×190）　120ページ　　2007年1月25日発行　定価1320円　(本体1200円)　ISBN978-4-87995-697-2 C1392 \1200E

わき腹に鰭がひらく。恥とはちがう。感情はない。子宮の抱く一個の太陽球が赤く黒く燃えさかる。生成だ。両性の。ハレーションを起こす。日傘をくるくる回し。鱗が逆立つ。ひかる。一片ずつ。ぎらぎらと。
――鈴村和成

(全部で30冊)

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