2005年度書籍目録

(全部で31冊)

るしおる　59　
　　装幀造本=菊地　信義
　　菊変（220×190）　116ページ　　2005年12月30日発行　定価1320円　(本体1200円)　ISBN978-4-87995-662-0 C1392 \1200E

幾つもの言葉が一纏りの声としてしか届かなくなりつつある時刻、柔らかい布に身は包み、いよいよ受け身だけの存在となり、扉を閉め、眠りに沈んでゆく時、目を閉じたあと光源はどこへ行くのか、行ってしまったものたちはさらにどこへ行くのか……
――関口涼子

詩への小路　古井　由吉　
　　装幀=菊地　信義
　　A5変フランス装（210×140）　254ページ　　2005年12月25日発行　定価3080円　(本体2800円)　ISBN978-4-87995-660-6 C1095 \2800E

思索のもつれを友として、左手にはパイプも忘れず、小径をたどる。詩に出会いに行くつもりだ。霧のおおう視界に射す一閃の光をたよりに。

ライナー・マリア・リルケ「ドゥイノの悲歌」、マラルメ、ゲオルゲ、ヴァレリー、ソフォクレース、アイスキュロス、ダンテ、夏目漱石、ヘルダーリン、シラー、ボードレール、グリンメルスハウゼン、グリュウフィウス、ドロステ=ヒュルスホフ、ヘッベル、マイヤー、メーリケ、シュトルム、ケラー、クライスト、アル・ハラージー……

風攫いと月　福井　桂子　
　　装画=カイカワカイ
　　四六略フランス装　80ページ　　2005年11月30日発行　定価1980円　(本体1800円)　ISBN978-4-87995-659-0 C1092 \1800E

遠くで　涙をふきこぼしている男がいる
穂原に、水の澄んだ川に、林檎林の夜にひそんでいる小さなものたちがそっと声をつめてつぶやく――〈もうどうにもならないの？〉
遠くで…
童子がさけんでいる
緑濃い草のうえを、かぼそい脚でとびはねている

子供の情景　熊沢　加代子　
　　帯=高橋　順子　装幀=亞令
　　A5変（210×138）　114ページ　　2005年11月25日発行　定価2750円　(本体2500円)　ISBN978-4-87995-658-3 C1092 \2500E

一人鍾愛の音楽に身をゆだねているうち、
木の言葉や子供たちのおしゃべり、
土と水の記憶などにまじって、詩が
長い時間をへだてた後に浮いてきたのですね。
そよぐことは戦ぐこと、
そんなしなやかな決意を秘めながら
詩を書くことは素敵です――高橋順子

さんざめき　りぶるどるしおる56　　ニコライ・コーノノフ/訳=たなか　あきみつ　
　　解説=ヴァチェスラフ・クーリツィン　装幀=亞令
　　四六変（190×120）　188ページ　　2005年11月30日発行　定価2750円　(本体2500円)　ISBN978-4-87995-657-6 C1398 \2500E

なにもかも裏目に出る以上、歌よ、驟雨のように流れよ……いやわたしは信じない、だけどたぶん、ああ、また信じ込むだろう……
マーマ！　おばあちゃん！　友よ！　親愛なる諸君！
これはいったい何……
コーノノフ
突入する言葉の渦・行き悩む者を囲む現実の渦
ロシアで最も長い詩行を書く詩人。彼がもたらすのは単なる言葉の洪水ではない。捉え難く正視し難い世界に丸ごと接近しようとする意思なのだ。

黄燐と投げ縄　清水　哲男　
　　装幀=小松　桂士朗
　　A5変略フランス装（210×138）　94ページ　　2005年11月15日発行　定価2750円　(本体2500円)　ISBN978-4-87996-656-8 C1092 \2500E

両のてのひらで
こわさないようにそおっと
何かをつつみこんだことがあるかい

…痩せた猫…新聞紙で作ったGI帽…馬で駆ける西部男の投げ縄…
…「決起せよ」…風の中を行く子供の背中…ボガードのマッチ…さよなら…

糞っ　べらまっちゃ
そんなことがわかるくらいなら……

第1回三好達治賞・第6回山本健吉文学賞詩部門受賞

歌枕合　りぶるどるしおる57　　高橋　睦郎　
　　装幀=亞令
　　四六変（190×120）　180ページ　　2005年11月10日発行　定価2750円　(本体2500円)　ISBN978-4-87995-655-2 C1395 \2500E

一つの地名が異邦の別の土地へと想いを誘う。
高橋睦郎
忘れられた永遠の詩〔ポエジー〕の源泉の再発見

歌枕とは旅先の地霊と枕を交わし、そこに潜む詩心を聞き取ること。21世紀を生きる詩人が〈ここ〉と〈かしこ〉に底流する古く新しい歌を汲みあげ、競いあわせた前人未到の力技

どこにもないところからの手紙　りぶるどるしおる55　　ジョナス・メカス/訳=村田　郁夫　
　　装幀=亞令
　　四六変（190×120）　201ページ　　2005年10月10日発行　定価2750円　(本体2500円)　ISBN978-4-87995-654-5 C1398 \2500E

故国リトアニアの人々とともに考え、思いをめぐらす
メカス
大地、世界、そしてそこに生きる人間について

どこにもないところ…それはおそらく人類が訪ねつづけてまだ到り着けないところ。映像作家・詩人メカスもまた訪ねつづける。流亡者こそが持つまなざしをたよりに。

パゴダツリーに降る雨　山本　博道　
　　装幀=亞令
　　A5変（210×138）　117ページ　　2005年10月10日発行　定価2750円　(本体2500円)　ISBN978-4-87995-653-8 C1092 \2500E

うんざりするほど降りつづく雨、うんざりするほどの旱魃…
泥の中で死んでいた男たち…やせた小鳥を売る少年…頭にの
せた籠のバナナを売る少女…丸はだかの赤子を抱え乞う女…
わたしはなおも歩いて行った――生きるのに意味なんてあるのだろうか？
遠くキラキラと常夏の青い海が広がっている　第13回丸山薫賞受賞

るしおる　58　
　　装幀造本=菊地　信義
　　菊変（220×190）　128ページ　　2005年9月30日発行　定価1320円　(本体1200円)　ISBN978-4-87995-652-1 C1392 \1200E

坂の上、海よりも高く、杉の木よりも高く、彼らは眠る。

鉄の空がその記憶を消し、鳩が去ってゆく

彼らの人差し指の方角へ、その千切れた躯から東にむかって。
――マフムッド・ダルウィシュ/四方田犬彦=訳

匣の中の宙　石井　茂　
　　解説=鈴木　志郎康　装幀=亞令
　　A4変函入（250×210）　80ページ　　2005年9月10日発行　定価4400円　(本体4000円)　ISBN978-4-87995-651-4 C1072 \4000E

鈴木志郎康●針穴写真機で写真を撮る写真家・石井茂。光と向き合い、フィルムの表面に直に光を掴まえ、光の堆積を待つ。光を受け止め、見えなかったものを撮る。この世に生まれ出た時の初めての光の体験を再現する。
女性の肌、植物、器物、石、そして風景に至るまで、瑞々しく生きているもののように感じさせられる。イメージが光に当たって砕けて、あるいはまた光を纏って、妖しく揺らめく姿となって生成してくる。

灰と緑　松本　邦吉　
　　装画=高須賀　優　装幀=亞令
　　A5変（210×146）　98ページ　　2005年8月25日発行　定価2640円　(本体2400円)　ISBN978-4-87995-650-7 C1092 \2400E

汝ハ何故泣クノカ
怒リナガラ通リ過ギテイルカラ
コノ生ノムナシサトハ何カ
碧空ノ臍ニカクサレタ薔薇
汝ハ何故悲シクナイノカ
死ノナカヲ帰ッテキタカラ

ゆっくりとみちてくる時
とぎれることなくひろがる光

アルボラーダ　入沢　康夫　
　　菊変（218×138）　112ページ　　2005年8月30日発行　定価2860円　(本体2600円)　ISBN978-4-87995-649-1 C1092 \2600E

今日も
アルルカンが
哀しい裏声で
うたう。
朝の光のなかに
見え隠れする
幽（かく）れごと。

第21回詩歌文学館賞受賞

神の子犬　藤井　貞和　
　　装幀=亞令
　　菊変（175×152）　202ページ　　2005年8月25日発行　定価3080円　(本体2800円)　ISBN978-4-87995-648-4 C1092 \2800E

藤井貞和の詩
――fujii sadakazu 2005;
his poetical works
おはいりよ、不安なことば。
行くな。そこから先は、あぶない。

第24回現代詩人賞・第23回現代詩花椿賞受賞

パルナッソスへの旅　相沢　正一郎　
　　A5変（210×130）　120ページ　　2005年8月30日発行　定価2420円　(本体2200円)　ISBN978-4-87995-647-7 C1092 \2200E

今朝もお鍋のスープをかきまわし、出がけにちょっとけつまづき、蝶の羽化につきあい、天空の山への道をたどる。5000年前にもそよいだという風が、庭の洗濯物をはためかせ、柘榴の木をゆすり、けわしい道をひっそりとゆく驢馬の耳に何事か囁く。

第56回H氏賞受賞

息の真似事　辻　和人　
　　カバー写真=篠原　俊之
　　A5変略フランス装（210×130）　130ページ　　2005年8月15日発行　定価2200円　(本体2000円)　ISBN978-4-87995-646-0 C1092 \2000E

ぼくの日常はとりたてて珍しいことが起こるわけではないのだけれど、ある瞬間、見つかってしまうんだ――ちょっとこわいような、ちょっと笑わせるような、生活の別の顔……パクッ/パクパクと現れるそいつ　とそいつを踏みつけているぼくの足の裏、そこのところの区別が、もう、つかない。

海の領分　黒岩　隆　
　　装幀=亞令
　　A5変略フランス装（210×138）　88ページ　　2005年8月10日発行　定価2200円　(本体2000円)　ISBN978-4-87995-645-3 C1092 \2000E

見ましたか
　見ました
　　………

水平線に悔恨のように浮んでいる白い舟
払暁の砂浜でひたっと跳ねる希望
夕凪の郵便夫が背後に点々と残す哀しみ。第2回詩歌句大賞詩部門受賞

天使の重力　来住野　恵子　
　　栞=饗庭　孝男　カバーオブジェ=勝本　みつる
　　B5変（224×146）　160ページ　　2005年8月10日発行　定価2860円　(本体2600円)　ISBN978-4-87995-644-6 C1092 \2600E

飛び降りても
　飛び降りても
心ならずも翼がひらいてしまう

先行きも未来も知らぬまま、無謀にも生まれ出る
――よくある事故ね/違う/下敷きになって死ぬんでしょ/死なない/勝ち目ないわよ――私は永遠の記憶の微塵になる。まずは、来意を告げよう。

大祓　エズラ・パウンド/訳=小野　正和、岩原　康夫　
　　装画=紺野　保
　　菊変（218×140）　268ページ　　2005年7月30日発行　定価3740円　(本体3400円)　ISBN978-4-87995-643-9 C1098 \3400E

とんで行け、小さな、裸の、恥知らずな歌よ、
かるいフットでとんで行け!
行け!　家の呼び鈴をジャンジャン鳴らせ!
行け、わが歌よ、……

屈折してやまない言葉の反射光/罵倒諧謔シニシズム/パウンド1912～1916

るしおる　57　
　　装幀造本=菊地　信義
　　菊変（220×190）　112ページ　　2005年6月25日発行　定価1320円　(本体1200円)　ISBN978-4-87995-642-2 C1392 \1200E

言語というストックなどど
こにもないのである。そん
な「もの」が人体のなかにな
いのはもちろんのこと、国
家のうちにも民族のなかに
もない。ただ諸言語として
無数の意味が名づけをとも
なって浮遊し、名づけられ
た意味の湖がイメージとと
もに流れてやまず、そんな
諸言語が史上に無数にあっ
て、諸言語と諸言語とのあ
いだには境界が曖昧につづ
いて、ときに意味がかすれ
たり周辺で失われたりする。
――藤井貞和

無音歌　大八木　敦彦　
　　帯=高橋　睦郎　装画装幀=むらい　こうじ
　　菊変（216×142）　110ページ　　2005年6月30日発行　定価1430円　(本体1300円)　ISBN978-4-87995-641-5 C1092 \1300E

たどり着くことができれば、
詩は終わる…
この認識がいかに悲愴だろうと、
この認識から
詩作という行為は始まる。
詩人の悲愴な、
すなわち真の出発に、
光あれ。
高橋睦郎

詩がよみがえる今
言葉の音楽に耳傾けて欲しい

やさしいめまい　佐々木　浩　
　　栞=中上　哲夫　装画=宮﨑　恵子　装幀=亞令
　　A5変（210×138）　120ページ　　2005年6月30日発行　定価1650円　(本体1500円)　ISBN978-4-87995-640-8 C1092 \1500E

明日になれば、鳥も歌うよ――
ほんとうだろうか。
ぼくはあなたのことを想って眠れないし、
眠れたとしてもあなたの夢ばかり見る。
ぼくの影からあなたの影へと
時の影がめまいを起こした蝶のように飛んでいる。

蛇を仕留めて　吉岡　又司　
　　装幀=亞令
　　菊変（214×142）　124ページ　　2005年5月31日発行　定価2750円　(本体2500円)　ISBN978-4-87995-639-2 C1092 \2500E

小便こき嘘こくように詩をこけ、志も死もこけと誘き出すものと一緒に出て行こう。何もかもほったらかしにして。あてもなく。もっと遠くへ。
捜すな。
帰りがけの駄賃に蛇を仕留めて、少年のように口笛を吹いて戻るから。
今年もあの峠を越えるつもりなんだが……

夕映え　及川　馥　
　　装幀=亞令
　　A5変（210×138）　72ページ　　2005年5月31日発行　定価2640円　(本体2400円)　ISBN978-4-87995-638-5 C1092 \2400E

ひとりの女の子が走っている/髪を風になびかせ/わきめもふらずに一散に走っている

老いた母は、
ベッドの上で
見えない猫を見つめている。
あるいは、
見えない<それ>を追って
夕陽のなかを一心に走っているのだろうか。

『赤光』の生誕　岡井　隆　
　　装幀=亞令
　　四六　476ページ　　2005年5月30日発行　定価4180円　(本体3800円)　ISBN978-4-87995-637-8 C1095 \3800E

斎藤茂吉の歌集『赤光』はどのようにして生まれ出たのか。問いがたどりつくのは、幾つもの事実そして幾つもの謎だ。それらは、『赤光』がむしろ運命的に生誕せしめられたのだ、ということを指し示すかのようだ。
茂吉の歌集をめぐる無限軌道を自在に往来する/時代・社会・文学の情況。茂吉個人が抱く特殊な事情。さまざまな事柄との特異な遭遇のしかた…。そして、『赤光』は多くの読者に読まれた、読まれつづけている――その理由を確定することはできないかもしれないが、この事実そのものは幾つもの謎とともに厳然としてある。図書館協会選定図書

おひさまのかぞえかた　片岡　直子　
　　装画=杉田　達哉　装幀=亞令
　　四六　282ページ　　2005年5月7日発行　定価2200円　(本体2000円)　ISBN978-4-87995-636-1 C1095 \2500E

明日という目的地にむかってまっしぐらに突っ走る詩人。
母としても走る。妻としても。
からだじゅうこころじゅう青あざだらけ。
いつも何かしら予期せぬものが出現し、
気づいたらもう転んでいるから。
それでも、まっしぐらにいく。
今日も。ひとりの女として。――初のエッセイ集

るしおる　56　
　　装幀造本=菊地　信義
　　菊変（220×190）　128ページ　　2005年3月15日発行　定価1320円　(本体1200円)　ISBN978-4-87995-635-4 C1392 \1200E

まちがひなくこのわたしです。
わたくしです。それがしです。
自首します、自首します。
えゝ、ここで。えゝ、いま、ここで。
えい！
　　　（スッテンコロコロ
　　　　　　　　　　　　　　コロコロリン）
――入沢康夫

十字路　中村　恵美　
　　装画=浜田　洋子
　　A5変（210×138）　138ページ　　2005年3月30日発行　定価2640円　(本体2400円)　ISBN978-4-87995-634-7 C1092 \2400E

十字路に立つ。
人はどの道を行くのか――。
未来が
　　　ひらかれる
　　　音もなく。
ひらかれずにはいない。
ときには
鋭い破裂音とともに。

淡きものたちよ　稲垣　瑞雄　
　　装画=浜田　洋子
　　菊変（195×150）　128ページ　　2005年3月3日発行　定価2860円　(本体2600円)　ISBN978-4-87995-633-0 C1092 \2600E

生と死のあわいに横たわる
この萌黄色の丘に立つ―
淡きものたちよ姿を現わせ。
身を顫わせ無言の声をひろげよ。
私は引き返すことをしない。
――ともに行くつもりだ。

ミラベルの数の書　ジェイムズ・メリル/訳=志村　正雄　
　　装画=伊藤　聚　装幀=亞令
　　菊変（218×142）　480ページ　　2005年1月30日発行　定価4950円　(本体4500円)　ISBN978-4-87995-632-3 C1098 \4500E

メッセージ:
誠実であれ
何かに
何にせよ
誠実であれ

ふたたび、さまざまな制約をくぐりぬけて出現する魂の交わり。そこで語られるのは、人間の歴史・宇宙の歴史――人間よ、人間は自分の宿命の支配者なのだ/忘れるな　偶然は存在しない。……そうであったのか。生の深く過酷な衝動こそが、宇宙の、地球の、人間の歴史なのだ。悩みまどう魂たちの天界から発するメッセージが、詩人のペン・詩の希求を介して私たちの胸にとどく。〔全米図書賞受賞作〕

音づれる聲　藤原　安紀子　
　　栞=藤井　貞和　装幀=亞令
　　A5変略フランス装（210×138）　138ページ　　2005年1月26日発行　定価2640円　(本体2400円)　ISBN978-4-87995-631-6 C1092 \2400E

ぼくはユビ
はにかんで摘む

光のなかの器にひとりぼっちだ信号を送ろうきっと最後のしんごうになる

ぐうした手に　ちり
萌えのこる　あ

この石こころきみへあげる

ぼくらのちいさな足は心もとなく瞬く水脈のよう
鈴生る未をいつまでも拾いあつめてあいしている　第16回歴程新鋭賞受賞

(全部で31冊)

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